コンテンツへスキップ

ミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』

ミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』

2016年に公開され、アカデミー賞6部門で受賞したミュージカル。
冒頭のシーンがまず有名かと思う。渋滞で身動きしない車から次々の人々が降りてきて踊る。YouTubeでは当時そのシーンを真似た動画が多数アップロードされたのは、ダンスと音楽の秀逸さのあらわれだろう。
この映画のミュージカルシーンは他にもありいずれも素晴らしいが、なんと言ってもエンディング。エンディンがこの映画のオリジナリティを決定している秀逸さに違いない。よくよくこの映画を思い返すと、冒頭のシーンもエンディングも車の渋滞がある。

冒頭の渋滞のなかに主人公のふたり、ミアとセブがいる。
ミアは女優を目指しているがオーディションで採用されることはなくカフェでアルバイト。セブはジャズピアニストを目指しているものの環境に恵まれていない。
渋滞がふたりの現状そのままなんでしょう。

とあるパーティでふたりは再会し、ふたりの関係が進展して一緒に住むようになる。
それぞれの目標はかなう可能性も見えず次第にふたりはすれ違い始める。
(早くエンディングの話にいかないとならないので、端折りますが、)
別れた後、ふたりはそれぞれ夢が叶っていく。
ミアは大女優になり結婚し子供も。セブは自分のジャズバーを持つ。

そして5年後のエンディング。
ミア夫婦は渋滞に巻き込まれたので脇道にそれる。そして偶然セブのバーに。
セブはミアに気がつき、物悲しいピアノソロを弾きはじめる……。
ここからです。
もしふたりが別の選択をして別の人生を歩んでいたら?別れず結婚し男の子と暮らしているかも……。
もしもの世界が数分間続きます。

ピアノソロが終わるとともに“幻想”は終わりふたりは現実の世界に戻る。
ミアは夫に促されバーを後にしようとするものの出口で振り返りセブを見つめる。セブもミアを見つめ、お互いに微笑み合い、そしてこくりと頷き合います。

ミアもセブもピアノソロの間に同じ幻想を垣間見ていたんでしょう。
でもふたりとも、未練はあるもののこれでよかったんだと考えてる。

人生、さまざまな岐路があります。それぞれの岐路で選択した道で人生はたどっていく。
あの時違う選択をすればよかったという後悔は誰しも抱くことがあるでしょうが、それをいつまでも引きずっていたら人生は辛いままです。
今の人生を受け入れ、“これでよかったんだ”と自分を慰めてやれないでしょうか。

share on
Share
タグ: